割箸種類と特徴
天削箸(てんそげばし)
割箸の天の部分を鋭角的に削ぎ落とし木目(杉、桧など)の美しさを強調しているお箸。天(頭部)が削がれているように見える事からこの名がつきました。
大正5年奈良県吉野郡下市町において開発され、主として高級料亭やご家庭において、お客様をもてなす時に使われます。
(割箸の中の最高級品)
(24cmのものが主流です。)
元禄箸(げんろくばし)
箸の天の部分の切口が元禄模様に見えるところから、その名がついた。最も汎用的な割箸で、気軽に家庭内で使用されたり、大衆食堂などにも利用される割箸です。割箸の4つの角をなめらかに削り、さらに、割りやすくするために中央部に溝を入れていて割った時に8角形になります。明治20年頃奈良県吉野郡下市町において開発され、現在、最も多く流通している形状です。高級なものは桧などもありますが、多くは白樺材、アスペン材であります。
利久箸(りきゅうばし)
中太両細型のお箸で(一本利久箸)、室町時代に茶の宗匠である千利休が、茶席でもてなす時に愛用したと伝えられている。天(頭部)と地の両端が細くなっているため、地を口に運ぶ方に使い、天は取り箸として使えます。天削箸に次ぐ高級品。明治末期に奈良県吉野郡下市町で開発され、高級なものは、吉野杉を使用するが、家庭用のちょっとしたおもてなしや、家庭の中で汎用的に使用される割箸には<エゾ松>や<アスペン材>が使用されたりします。竹素材の利久箸もあります。(高級品24cm、竹材21cm)
小判箸(こばんばし)
小判箸は、割箸の4つの角を削って小判型にしたもの。箸の天の部分の切口が小判型に見える事から、命名された。割箸としては最も古く明治10年に奈良県吉野郡下市町において寺子屋教師の島本忠雄によって開発されました。当初は吉野杉で作られておりましたが現在は、白樺材が最も多く、アスペン材もあります。元禄箸と同じく汎用的に使用される割箸です。
その他の素材・種類と特徴
吉野杉(よしのすぎ)
吉野杉は冬目(冬の期間に成長する部分で、いわゆる木目の事)が細かく通り、強度があると同時に木がきめこまかく、光沢がある。割裂性に富み、心地よい割れ具合です。吉野は桜の名所、義経の千本桜で有名で下市町に隣接しています。良質の杉で、上品な香りと美しい木目を兼ね備えた吉野杉の割箸は、最高級品とされています。吉野杉の建築資材などを取った残りの端材(木の外皮に近い部分)を利用して割箸にしており、主として高級料亭やご家庭で大事な、お客様をもてなす時のお箸として利用されています。
丸端(まるばし)
この箸は、割箸ではなく一本ずつの組箸です。お正月用の雑煮用として古くから使用されており、一本ずつ丸く中太両細の俵型をしています。2本で1膳となり、「丸くおさめる」「割らない」ということや家庭円満で一年中食物に不自由しないとの願いをこめて、お正月や、お祝い事に使われます。
素材は柳(みずき)が通常ですが、安価なアスペン材もあります。
特徴は折れにくく、木肌が白い。
不浄を清め、春真っ先に芽を出すおめでたい木とされています。
エゾ松箸(えぞまつばし)
北海道に自生する松の一種です。建築資材として取った残りの端材を有効活用し生産されます。木の腰が強く、折れにくいので割箸に最適です。最近は中華人民共和国にも多く自生している事が解り、中国での生産が主流です。
※赤松は、マツヤニ採取のため植林されているインドネシアの赤松を有効利用しています。
桧箸(ひのきばし)
吉野杉箸と同じく、おもてなし用のお箸として利用されております。木の肌が滑らかで手にした時の感触がよく、強度もあり、美しい光沢とよい香りを持ち、お箸として最適の素材で最高級品です。古くはこの木を使って火を得た事から「火の木」と呼ばれます。桧も建築資材として取った残りの端材を活用し、生産されます。
卵中(らんちゅう)
中心部は8角形、両端は丸く削ってあります。26cmある長い箸です。